11.Jan.2019
by Shinkichi Mizutani

元本と利子

諸塚村

水谷です。今年もよろしくお願いします。

さて国産材を普及させる活動をしていると、

『国産材を使うのはいいことで、外材(輸入材)を使うのはよろしくないことなのか?』

といった質問を投げかけられることがあります。

国産材=○

外材 =×

という二軸は分かりやすい構図ですが、果たしてそうでしょうか??

確かに、国産材を積極的に活用することは日本の林業にとってプラスになりますし、海外から違法木材を輸入することはよろしくありません。

そこで注意すべきなのが「森林資源のサステナビリティ」です。

資源管理の面では国産であれ、外国産であれ、どのような森林管理のもとで生産された丸太なのか、ということが重要です。

当然ながら、自然回復するスピードを上回るペースで伐採が続くと、やがて森林資源は枯渇してしまいます。

たとえばフィリピンは1900年代に70%台だった森林率が、2005年には24%にまで低下してしまいました。大規模な伐採や、人口増加による農地の拡大などが主要因です。フィリピンの木材産業は、1960年代をピークに明らかな衰退傾向で、最近ではドゥテルテ大統領が木材輸出の禁止を検討しているようですね(※その後どうなったかご存じの方いたら教えてください)

いまある森林資源を「元本」にたとえると、森林が成長した分が「利子」。フィリピンの森林率の低下は、利子どころか元本までをも食い尽くしてしまったことによって招かれた結果です。

そう考えると、「森林資源のサステナビリティ」とは、言い換えると

「いかに元本に手を付けず、利子分だけで木材生産していけるか」ということになります。

短期的にみれば、今の国産材価格では、薄利多売にならざるを得ずたくさん伐って売らなければ成り立たないのかもしれません。ですが元本を食ってしまうとやがて貯蓄はゼロになります。

では、森林資源の持続性(元本を食い荒らしていないか)をどうやって見分けるのか?その目安の一つに、FSC®という国際的な森林認証制度があります。

FSC(Forest Stewardship Council®、森林管理協議会)は責任ある森林管理を世界に普及させることを目的とする、独立した非営利団体であり、国際的な森林認証制度を運営しています。責任ある森林管理から生産される木材とその製品を識別し、それを消費者に届けることで、責任ある森林管理を消費者が支える仕組みを作っています。
(FSC JAPANのウェブサイトより)

more treesが協定を結ぶ地域の中にも、FSCを取得している地域が6か所あります

(北海道美幌町、北海道下川町、岩手県住田町、岐阜県東白川村、高知県梼原町、宮崎県諸塚村)

【参考:世界森林認証「FSC®」を取得した宮崎県諸塚村の森づくりとは?

繰り返しますが、国産材だったら無条件にOKというわけでもなく、逆に外材だったら全てNGというわけでもありません。資源管理の面で大切なのは、元本を食いつぶさずに木材生産がされているか、ということですね。外材であってもFSCを取得した木材は広く流通しています。(日本よりむしろ欧州の方がFSCは普及しています)

「恒続林」という言葉がありますが、これも元本と利子に通ずる概念だといえます。恒続林は、文字通り常に森である状態を維持するという考え方で、恒続林では皆伐(一斉に伐採する)をせず択伐(選択的に抜き伐りする)の手法をとります。択伐する本数が「利子」の分であれば、森全体としての資源量である「元本」は常に維持された状態なわけです。

恒続林が全てとはいいませんし、皆伐を頭ごなしに否定するつもりもありません。

もし一部の森林を皆伐したとしても、その伐採面積が地域全体としての利子分に相当していれば、マクロで捉えたときには元本は維持されているわけですし。(防災や水源涵養の面では異なる見方もできますが)

森林をミクロで捉えるか、マクロで捉えるかの違いはあっても、とにかく元本を食いつぶしてはいかんわけです。昨今のバイオマス発電に伴う国内各地での皆伐は、ひょっとしたら元本を食いつぶす元凶かもしれません。

いずれにしても、利子のみで食っていけるのが理想ですね。(ボク自身も 笑)

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