08.Jun.2018
by Shinkichi Mizutani

森のポートフォリオ①

水谷です。

ボクはこれまで、いろいろな地域に足を運んできました。

山全体が全てスギ、なんていう光景も幾度となく目にしています。

DSCF2815

とてつもない急斜面や崖上にまで植わっている光景を目にすると、先人は体を張ってあんな所にまでよく植えたな、と思わず尊敬してしまいます。

ちなみに日本国内のスギ人工林の面積は448万ヘクタール、ヒノキ人工林は260万ヘクタールで、合わせると森林面積の約3割を占めています。

国土を8畳間に置き換えると、そのうち1畳がスギ林ということになります。

かなりの割合ですよね。そりゃ花粉症にもなります。

森林の構成(円グラフ)

ここまでスギやヒノキの割合が高いのは、戦後の「拡大造林」に伴ってこれらの植栽が進められてきたからです。

戦後の林業において、スギ、ヒノキが重視されてきたことを示唆してくれる一つが「森林簿」の存在です。

森林簿には森の面積、所有者、樹種、年数などが記載されているのですが、「樹種」の欄にはスギ、ヒノキなどの針葉樹はきちんと書かれているものの、広葉樹の場合は「その他広」や「その他雑」「ザツ」などと記載されています。つまり雑木(ざつぼく)という扱いなのです。

当時は建築資材が不足していたこともあり、その需要に応えるのがスギやヒノキだったのでしょう。

日本の林業は、このように針葉樹の単一な植林(モノカルチャー)によるものが現在は一般的となっています。

でもそれってかなりハイリスクじゃないでしょうか?

たとえば資産運用で考えてみましょう。

現金として保有するだけでなく、株、債権、投資信託、外為、不動産、金など分散投資しますよね。

農業でも、複数の野菜を育てたりしているわけです。ちなみに農業ならば、もし単一の作物だとしても翌年には転換できます。なので、たとえば「パクチーが儲かる!」となれば、1年で結果が出るわけですね。

しかし林業は違います。

もし「ヒノキがきてる!」となっても、慌てて植えたところで収穫できるのは早くても50年後なわけです。

農業とは収穫のスパン(時間軸)が決定的に違います。

3年後、5年後のトレンドも読めない中、50年後にどんな木材が儲かるかなんて誰も解りゃしないんです。

つまり林業はすぐに方針転換できない産業構造にもかかわらず、分散投資(リスクヘッジ)がされていないんです。

いま、戦後に植えた針葉樹が収穫期を迎えていて、全国で間伐だけではなく皆伐も進んでいます。皆伐して一旦リセットされた土地を再造林する際には、何のためらいもなく再びスギが選ばれているのが一般的です。(放棄地も多いので、植えられていればまだマシともいえますけど)

でも果たしてそれでいいのか?

50年後もスギ、ヒノキでいいのか?

この数年、そんな違和感をずっと抱いていました。

(続く)

Comment(1)

  1. […] (前回の内容はコチラ) […]

コメントする

名前*
コメント(スタイル用のHTMLタグを使用できます)

内容に問題なければ、下記の「コメントを送信する」ボタンを押してください。