以前からカーボンオフセット関連のプレゼンをするときに盛り込んでいたのですが、最近になって山側、都市側ともに好評をいただいている内容があります。
それが「山と都市がつながる3ステップ」という内容の図。
あくまでカーボンオフセットを活用する前提としてのステップですが、
縦軸が「山(森)との密接度 (リアリティ)」
横軸が「都市住民側が感じる手軽さ」 を表しています。
カーボンオフセットは、携帯やPCからでも参加できたり、オフセット商品を購入するころで参加できることから、都市側にとっては比較的手軽です。ただ目に見えないやりとりでもあるため、リアリティは低いです。次のステップである間伐材(国産材)の利用では、木のぬくもりや匂いを感じることができるので、リアリティが上がります。
ただ究極は現地に行くこと。自然環境や地域の営みを感じるには、現地に行ってナンボです。
オフセットを導入した企業が、その地域の材を活用した商品やノベルティを展開する。そして最終的には社員や顧客などステークホルダーを巻き込んだ現地ツアーを開催する。
オフセットの対価は林業の活性化の一助となり(第一次産業)、地域材を活用した商品やノベルティは製材・加工業に寄与する(第二次産業)。そしてグリーンツーリズムや森林セラピーでは、観光・宿泊関連にもお金が落ちる(第三次産業)
農業や水産業では、このように生産者が加工や流通まで担うことで直接的に付加価値を得ることを「六次産業」と呼ばれている。林業でも、こうした流れはあっておかしくないですね。
ただ、このモデルは特定の事業者にメリットが行くのでなく、地域全体が受け皿になるのが特色。
オフセットは、言い方が悪いかもしれないですが目に見えないバーチャルな取組みに過ぎません。
これを更に深堀りしてリアリティを高めるためには、材の利用やツーリズムも見据えるべきだと思います。
でないと、単にクレジット(J-VER)を売った買ったで終わってしまいます。これじゃ味気なさすぎます。
オフセットはこのようにつながっていくべきだと思うし、そういうmore treesの考えを、導入企業側それにJ-VER導入を考えている山側にも伝えていきたいですね。
ちなみに「このモデル図、使わせてもらっていいですか?」という声を最近いただきます。
もちろん使っていただいて良いです。けど『出展 more trees』と入れてもらえると嬉しいです(^^)
ちなみに、この図は今年の2月に刊行された書籍
「森林吸収源、カーボン・オフセットへの取り組み」(小林紀之氏 編著)でも182ページに紹介されています。
http://www.ringyou.or.jp/publish/detail_896.html
(第六章をミズタニが執筆してます)
とにかく、オフセットが森づくりの一助であり、手段としてのファーストステップであるということをちゃんと伝えていきたいですね。
水谷伸吉